わたしたちのひと
カラダを動かすと、ココロが変わる。
子どもたちの発達を引き出し、
可能性を広げる鍵は「運動」にある。
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最高プロダクト責任者
高崎 睦也
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社長室長
竹内 健太朗
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最高技術責任者
伊東 佑太朗
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LUMO
SPECIAL TALK
Gotoschoolの創業メンバーであり、子ども運動教室「LUMO」の前身となるパーソナルジム「animom」(兵庫県芦屋市)の創業期から事業に携わる伊東、竹内、高崎の3人。パーソナルトレーナー、鍼灸師、柔道整復師というバックグラウンドを持つ3人が、Gotoschoolの運動療育のあり方やその効果、今後のビジョンまでを語り合います。
サッカーを共通点に集まった、
スポーツとカラダの
プロフェッショナルたち。
Gotoschoolの立ち上げメンバーの共通点はサッカーですね。
そうだね。僕はGotoschool代表の松本さんと同じ高校のサッカー部で、一年後輩。大学のスポーツ学科を卒業した後、LUMOの前身であるanimomの立ち上げから関わっています。当初はマッサージがメインだったけど、施設の一角でトレーニングも提供したところ、評判になったのが始まりでした。
僕は伊東さんのさらに二年後輩で、サッカー中にけがをしたのがきっかけでプレイヤーからトレーナーに転向しました。animomの立ち上げ1年後にジョインして、鍼灸師の資格を取得。治療者とトレーナーの二足の草鞋を履くようになりました。
そんなanimomに、当時高校生でサッカーをしていた僕が顧客として通い始めたんです。大学時代はanimomのアルバイトとして働き、柔道整復師の資格も取得した後、パーソナルトレーナーとして入社しました。お客さんには子どもやジュニアアスリート、お年寄りもいて、超インクルーシブな教室でしたね。
一人で歩けないのなら、
二人で走ってみよう。
僕たちのターニングポイントになったのが、当時3歳だったけんた(仮名)くんとの出会い。「一人では立つことも歩くこともできない」というご相談で、お父さんとお母さんに両手をつながれて来たんです。
原因も分からなかったんですよね。病院でリハビリをしたり、矯正インソールを作ったりしてみても効果がないと言っていました。
でも、手をつなげば歩けるわけで。それならばと、けんたくんの両手をとって一緒に走ってみた。
ここで「手をつないで歩けるなら、走ることもできる」という発想に至るのが、伊東さんのすごいところ(笑)。「手をつながないと歩けない」と聞いたら、多くの療育では、手を離して1歩、2歩と歩く練習をするんじゃないでしょうか。
病院でまさにそういうリハビリをしていると聞いて、「それは面白くないやろうな」と思っちゃったから。まずは「動くことは楽しい」と感じてもらいたかったんです。けんたくんも笑いながら走りだしたから、運動場の中をグルグル回りながらスピードを上げて、最後はもう全力ダッシュ。
ご両親も驚いていたね。「こんな姿、初めて見る」って(笑)。
これが結果的に良かったと思います。「立てない」に注目してリハビリをするのではなく、まずは今の「できる」を全部引き出したんですから。
子ども一人ひとりのために、
カラダや運動の知識を持ち寄って。
さて、ここからけんたくんにどういうサポートを提供していくか。自分一人では歩けないということは、足の裏をうまく使えていない可能性があります。高崎さんや竹内さんからもアドバイスをもらい、足裏を動かすメニューを組み込んでいきました。床にばらまいたおはじきを足指でつかんで移動させたり、小さいボールをつかんで飛ばしたり。
ジュニアアスリートのサポートを通して得た発想でしたね。パフォーマンスには足裏の接地面の影響が大きいため、選手には足指や足裏を動かすトレーニングを提供しているんです。「もっと幼いうちからこういう動きが身に付いていたら良かったのに」と感じていました。それをけんたくんのサポートに応用した形です。
こういう具合に、鍼灸師の僕、柔道整復師の高崎さんと松本CEO、スポーツ学科で運動全般を学んだ伊東さんと、お互いの知見を持ち寄れる環境もanimomの強みでしたね。勉強会にも足を運びながらノウハウを積み上げていきました。
大人が信じ続けることで、
子どもの可能性は花開く。
けんたくんが下半身を動かせると分かり、次のステップは上半身を鍛える逆立ちでしたね。怖がって泣くけんたくんを、伊東さんが「できるからやろう」と40分も50分も励ましていたのを覚えています。
うん、絶対できると思ったからね。「この子はここまでだろう」と決めつけてトレーニングのレベルを下げるのではなく、まずは比較的難しいメニューにトライしてもらう。その結果によって次のステップを考えればいいんだから。
僕たちのスタンスはずっとそうですね。苦手な動作を洗い出し、それを改善するメニューを課す。苦手なことにはどんどん挑戦してもらうんです。
そうするうち、自立心も育っていったね。以前は一度失敗すると大泣きして投げ出していたのに、泣きながらも踏ん張って、どうにかやり通すようになった。挑み続ければできるようになるとカラダで理解したんだろうね。最終的にはクラスでリーダーシップを発揮するまでに成長しました。
本人はもちろん、ご両親もよく頑張ってくださったと思います。挑戦し続けるのは簡単なことじゃないから、行き渋りもあれば泣きもする。それでも毎週連れてきてくれた。ご両親が「通い続ければ変わるはず」という希望を持ってくれたから、僕たちもサポートを続けられたんです。
自分のことは自分でやる。
キャンプの中で偏食が消えた。
LUMOでは、運動教室の子どもたちを対象に2泊3日のキャンプも行っています。これも子どもたちにとって成長の機会になっていますね。
基本的に自分のことは自分でやってもらうからね。2泊3日分の荷物を自分で背負い、2時間ほどかけてキャンプ場まで歩いて向かう。着いたら川で魚を捕ったり、宝探しをしたりしながらカラダを動かして。
僕たちスタッフは、安全に気を配りつつも必要以上に手を貸さない。これが自立を促すんだと思います。信頼できる大人の監督のもとで「頼れるのは自分自身だけ」という体験をしてもらうんです。
特に大きな変化があったのが、当時小学校低学年だったしょうたくん(仮名)ですね。こだわりが強く偏食もあって、キャンプも集団行動もこれが初めてでした。
キャンプの翌週、保護者の方に言われたのをよく覚えています。「しょうたが焼きそばを作りたいと言って、自分で作って残さず食べたんです」って。今まで焼きそばの具は全部残していたんだそうです。「キャンプでも完食していましたよ」と言ったらまた驚かれて。キャンプを通して、意識が変わるきっかけを掴んだんでしょうね。
今ではしょうたくんも高校生です。苦手だった勉強にも目覚め、コツコツ力をつけて、塾では最難関大を目指すクラスで頑張っていると聞いています。
原始反射の統合を通して、
カラダとココロは
目覚ましく変わる。
LUMOの運動療育は「苦手を突き止め、挑んでもらう」が基本的なスタンスです。さらに「原始反射の統合」という視点を加えたメニューを開発し、サポートを提供しています。
たとえばモロー反射が残っている子は、バランスボールの上で脱力するのが苦手。少しでも揺れると、カラダをこわばらせて必死にしがみついてしまう。運動場の床なら転げ落ちても安全だから、ボールを揺らして遊んでみたり、あえて落ちるように仕向けたりしながら原始反射を整えていくという具合です。
ほかに原始反射の残存が顕著に現れるのは、ボール投げ。非対称性緊張性頸反射が残っていると、カラダの左右を別々に動かせず、右足を踏み出しながら右手でボールを投げたりします。そういう子には、カラダの中心を軸にして手足を交差させる動きなどを繰り返してもらいます。
こうしたセッションを週1回、3カ月も継続すると、目に見えて子どもたちが変わりますね。怖がっていた動作やできなかったあいさつをするようになったり、運動自体はまだ苦手でも、自発的に2回、3回と挑戦するようになったり。カラダはもちろん、ココロが変わるという大きな進化を遂げるんです。
100年後、200年後に振り返ったら、
今がターニングポイントに
なっていてほしい。
発達障がいは脳の特性であり、不変であるという説もあります。でも、僕たち自身が目の当たりにしてきたように、運動療育によって発達は引き出せる。Gotoschoolの事業は、これまでの常識を覆す可能性に満ちていると思うんです。
この先LUMOをもっと展開することで、たくさんの人に変わるきっかけを与えていきたいね。それが世の中を変えるきっかけにもなると信じています。社内で常々共有しているように、100年後、200年後の子どもたちが「ずっと昔にGotoschoolという会社のこういう人たちがいたから、今の社会があるんだね」と感じてくれるような存在を目指したい。
発達を引き出すことに限らず、運動を通して得られることはたくさんあるしね。僕は、運動が嫌いな子は一人もいないと思ってる。でも、なんらかの要因で苦手意識を持っている子は多い。サポートを通じて、そんな子どもたちの背中を押すことには大きな意義があるし、それがGotoschoolのミッション「あきらめを、チャレンジに。」の体現でもあると思う。
社会を見渡すと、「できない」「変わらない」とあきらめられ、いつしかそれが常識として定着してしまった物事はまだまだたくさんありますね。それを疑い、解決策を模索するアクションを起こし続けていきたいですね。